Japanese
11

熱線に焼きつけられた影

 光をさえぎると影ができます。
 原爆の熱線にも、同じようなことが起きました。
 熱線を直接受けたものの表面は焼けて変色しましたが、さえぎられて影になったところは、もとのまま残ったのです。この色の差が、まるで影がそのまま焼きつけられたように見えます。火球から瞬間的に走った熱線の作用によって、午前11時2分の光景があちこちに焼きつけられました。

 こちらの3枚の写真の真ん中、「板塀に残ったはしごと監視兵の影」は、爆心地から南へ約4.4キロメートル離れた南山手町みなみやまてまちの長崎要塞司令部で撮影されたものです。熱線が当たった部分は、壁の塗料のコールタールがはげ、前にあったはしごと、立っていた兵士の体にさえぎられて影になった部分が、色を残しています。